お知らせコラム

見逃さないで!自覚しにくい「隠れ熱中症」対策・・・Vol220 チャイナビューNo329

気温がぐんぐん上がってくると注意したいのが熱中症。特に症状がなくても気づかないうちに不調が進む「隠れ熱中症」になっていることも少なくありません。夏を元気に過ごすためにも、体の小さなサインを見逃さず、日々の養生で暑さに負けない体づくりを目指しましょう。
気づかないうちに進行する「隠れ熱中症」
隠れ熱中症とは、自覚症状がほとんどないまま進行する熱中症のことです。梅雨明けの直後や、まだ体が暑さに慣れていない時期によく見られます。屋外だけでなく、暑さの危険を感じにくい室内でも起こりやすいことが特徴です。
初期には軽いだるさや頭痛などを感じることもありますが、熱中症とは気づかず症状が進行してしまうケースも少なくありません。特に高齢者や子どもは暑さを感じにくく、不調があっても気づきにくいため注意が必要です。漢方の視点で考えると、熱中症を起こしやすいのは「気陰両虚」「水質停滞」の体質。「気虚両虚」は、体内の「気(エネルギー)」や「陰(血や津液などの潤い)」が不足して、体力や水分が足りず不調が起こりやすくなります。一方、体内に「湿(余分な水分や汚れ)」が溜まった状態にも注意が必要です。湿の停滞は、「脾胃(胃腸)」の働きを弱くするため、食欲不振によって体力が低下し、熱中症を起こしやすくなるのです。
隠れ熱中症は目立った不調が現れないため、単なる疲労や夏バテと思い込んでしまうことも。気づかず放置すると悪化してしまうケースもあるため、小さな不調で油断せず、しっかり体調を整えていきましょう。

隠れ熱中症のサイン
次のような症状は隠れ熱中症の範囲かもしれません。熱中症とは気がつきにくいため、見逃さずに早めのケアを心がけましょう。
・口の中の乾燥や粘つき
・皮膚の乾燥やかさつき
・手の甲の皮膚をつまんで離すと、跡が戻るのに2~3秒以上かかる
・尿の色が濃い、回数が少ない
・食欲が落ちている

・体質ケアで「隠れ熱中症」対策
熱中症を招きやすい「気陰両虚」「水質停滞」の体質は、いずれも「脾胃(胃腸)」の状態と関わります。脾胃は飲食物から「気(エネルギー)」「血」を生み出し、体の活動を支える臓腑。そのため、脾胃が弱いと体力が十分に保てず、暑さで体調を崩しやすくなってしまいます。夏本番を迎え、熱中症や夏バテを防ぐためにも、不調をしっかり改善し脾胃の働きを健やかに保ちましょう。
体力と潤いが不足する「気陰両虚タイプ」
漢方では、「気」は体のエネルギー、「陰」は津液(水とも呼ばれ)や血などの潤いを指します。気(陽の性質)と陰は、お互いに影響し合って陰陽のバランスを保ち、それぞれの生成にも深く関わっています。
夏は汗をたくさんかくことで、津液を消耗しやすい時期です。津液と一緒に気も消耗してしまうため、気と津液が不足しやすくなります。すると、お互いを生み出す力も弱くなり、慢性的に気と津液が不足した状態になります。結果として、気陰両虚で体力が落ち、熱中症を起こしやすくなるのです。養生の基本は、日々の食事で栄養を十分に摂り、不足しがちな気と津液を養うことです。夏は暑さで食欲が落ちやすいので、脾胃を元気に保つよう心がけましょう。また、睡眠不足は体内の潤いを消耗するため、暑さ対策をして睡眠をしっかりとることも大切です。気になる症状
気虚:疲労感、倦怠感、息切れ、汗が多い、食欲不振、便秘、舌の色が淡い、舌が腫れぼったい
陰虚:口や喉の渇き、目の乾燥、皮膚の乾燥、かゆみ、抜け毛、不眠、ほてり、めまい、尿量が少ない、便秘気味、足がつりやすい、舌が赤く舌体が少ない、舌にひび割れがあるなどが挙げられます。
これらは、子供や高齢者、慢性疾患、ダイエット中の人、胃腸虚弱、肺疾患、過労の人なども参考に
食の養生
脾胃の元気を保ち、気と津液を養うことが大切です。
気を補う食材:米、栗、大豆製品(豆腐、湯葉、豆乳、厚揚げ)、鶏肉、手羽先、白身魚、鮭、かぼちゃ、じゃがいも、長芋、きのこ類、インゲン豆、ナツメ、桃、ぶどう、ライチ、竜眼肉、蜂蜜などが挙げられます。
陰を補う食材:小麦、豚肉、豚皮、豚足、卵、うずらの卵、牛乳、ヨーグルト、大根、白菜、蓮根、ゆり根、トマト、いちじく、バナナ、マンゴー、梨、パパイヤ、スイカ、メロン、クコの実、白きくらげ、黒ゴマ、白ゴマ、松の実、オリーブ油、梅干しなどが挙げられます。

よく使われる漢方薬
気虚・陰虚:麦味参顆粒
気虚:補中益気湯、健脾散エキス顆粒、健胃顆粒、心脾顆粒、亀鹿仙など
陰虚:杞菊地黄丸、双料杞菊顆粒、八仙丸、婦宝当帰膠など

過剰な水分が溜まる水湿停滞タイプ
夏に湿気が高く、暑さから冷たい飲食が多くなることで起こります。すると、湿気や冷えに弱い「脾胃(胃腸)」がダメージを受け、水分代謝が落ちて体内に「湿(余分な水分や汚れ)」が停滞します。その結果、溜まった湿の影響で脾胃の働きを回復できず、食欲が落ちて体力も低下し、熱中症を起こしやすくなります。
こうした状態は、湿気や冷たい飲食のダメージが積み重なる夏の後半にも多く見られます。養生の基本は、まず停滞した湿をすっきり取り除くことです。合わせて、脾胃の働きを整え、水分代謝の良い状態を保つことも大切です。夏は水分補給が欠かせませんが、冷たいものを多量に飲むと脾胃に大きなダメージを与えます。日常の飲み物や食事は常温、温かいもの、適量を意識して、脾胃に負担をかけないように心がけましょう。

気になる症状
頭痛、体が重い、疲労感、頭がすっきりしない、ぼんやりしている、寝ても疲れが取れない、吐き気、食欲不振、胃もたれ、膨満感、お腹の張り、むくみ、風に当たるのが苦手(扇風機やエアコンの風が苦手)、軟便、下痢、夏バテしやすい、舌の色が淡い、舌苔が白または黄色でベタつく、などが挙げられます。(子供や高齢者、胃腸虚弱、慢性疾患、疲労気味の人なども参考にしてください。)

食の養生
溜まった湿を取り除き、脾胃の働きを整えることが重要です。
湿を取り除く
冬瓜、キュウリ、瓜類、ハトムギ、緑豆(もやし、春雨)、コーン茶、緑茶などがあります。
脾胃の働きを整える
シソ、ミョウガ、ショウガ、カルダモン、チンピ、鶏肉、カモ肉、アジ、タチウオ、鯛、ハモ、ウナギ、米、もち米、豆類(大豆、小豆、インゲン豆)、長芋、かぼちゃ、ジャガイモ、ニンジン、リンゴなどがあります。

よく使われる漢方薬:健脾エキス顆粒、健胃顆粒、補中益気湯、清暑益気湯、勝湿顆粒、五苓散、平胃散、香蘇散など

熱中症かなと感じたら:めまいや頭痛、吐き気など熱中症が疑われる症状がある場合は、涼しい場所への移動、体の冷却、水分、塩分の補給など、早めに適切な対処することが大切です。症状が重い場合は、すぐ医療機関を受診してください。

暮らしの養生として、
①体の潤いや体力を守るためにも適切にエアコンを使い、暑さ対策をきちんとして睡眠をとりましょう。睡眠不足を感じたら昼寝で補うのもおすすめです。
②出かけるときは保冷剤などを上手に使って暑さ対策を。薄手のタオルに保冷剤をくるんで首の後ろを冷やしたり、手を握るだけでも効果があります。
③胃腸に負担をかけない食生活を心がけ、冷たいものは控え、体を潤す食材を積極的に摂りましょう。水分補給は常温のお茶や水を少量ずつこまめに行いましょう。
④夏も入浴を習慣にし、適度な発汗で汗をかく力を保ち、熱をため込まない体質づくりをしましょう。

タイトルとURLをコピーしました