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夏の皮膚トラブルに消風散・・・コタロー漢方通信

気温が上がり、汗をかくことが増えてきたと感じられている方も多いのではないでしょうか。本格的な夏の到来は少し先ですが、夏に特徴的な身体の不調に注意が必要な時季であると考えられます。夏に多い不調の一つに挙げられるのが、皮膚トラブルです。夏は汗をかくことで皮膚を清潔に保つことが難しくなるほか、気温や湿度の高さ、日差しの強さなどが皮膚に悪影響を及ぼすと考えられます。漢方医学では、夏によくみられる赤く炎症性で分泌物や水疱を伴う発疹は、風湿熱(風邪・湿邪・熱邪が合わさった状態)によって生じると考えます。こうした症状におすすめしたい漢方薬、消風散をご紹介いたします。
・消風散
消風散は風湿熱による皮膚症状に用いられる処方で、かゆみが強い炎症性の皮疹の代表処方です。分泌物や水疱があり、炎症・かゆみが強い発疹、湿疹に用いられます。熱症状が強く、口渇があり、入浴や就寝など体が温まると症状が悪化する傾向があることが特徴です。気温と湿度が高い夏にみられる皮膚病によいといわれています。
構成生薬
13 種の生薬で構成
祛風…防風・荊芥・蝉退・牛蒡子
清熱…石膏・知母・苦参
利湿…蒼朮・木通
養血潤燥…当帰・胡麻・地黄
諸薬調和…甘草
祛風薬はかゆみの改善に働き、清熱薬は炎症を抑え、利湿薬は分泌物や水疱を減少させる働きがあるとされています。また、養血潤燥薬を含むため、症状が慢性化して皮膚が乾燥している場合にも対応できると考えられます。

湿熱による皮膚症状に用いられる処方との鑑別
・「湿」の症状が強い(浮腫がある、分泌物などが多い)
茵蔯五苓散:利水の五苓散に清熱利湿の茵蔯蒿を加えた処方。二日酔いや吐き気だけでなく、浮腫とかゆみを伴うような蕁麻疹にも適しています。
・「熱」の症状が強い(赤み、炎症が強い)
黄連解毒湯:清熱作用が強い生薬構成。湿潤傾向によく、乾燥がある場合は不適。

夏の皮膚症状を悪化させないために(多汗・寝汗の対策)
症状を悪化させる要因である多汗・寝汗に用いられる処方をご紹介します。
防已黄耆湯:多汗の代表処方。むくみやすく、色白で水太り傾向の方に。
桂枝加黄耆湯:桂枝湯+黄耆。虚弱で皮膚のしまりが悪い方の多汗・寝汗に。
生脈散+玉屏風散:五味子(固渋)、黄耆(益気固表)による制汗が期待されます。
(コタロー漢方通信)

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