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秋の夜長の不眠に黄連阿膠湯・・・コタロー通信

日が落ちるのが早くなり、夜が長く感じる季節になりました。不眠にお悩みの方では、夜の長さが気になって更に眠れなくなることもあるかもしれません。加えて、漢方的にこの時期は、長引く夏の暑さで潤いを消耗し、陰虚になったまま回復できず、虚熱から目がさえるタイプの不眠を起こしやすいと考えられます。今回は、虚熱を伴う不眠におすすめの黄連阿膠湯をご紹介いたします。
黄連阿膠湯とは
黄連阿膠湯は、目がさえて眠れないタイプの不眠によく用いられる処方です。のぼせ気味で胸苦しいが、落ち着かず横になっていられないような場合に適しています。陰を補う働きから乾燥による皮膚トラブルなどにも用いられるため、むずむずしたかゆみによる不眠にも応用できます。
・出典:『傷寒論』少陰病篇
「少陰病、之を得て二三日以上、心中煩して臥すことを得ざるは、黄連阿膠湯之を主る」
少陰病になってから数日経ち、悪寒に代わって熱症状が生じた場合に用いられる処方です。少陰病は陰病期であり、一般的には陽気が不足して寒証になりますが、陰液が不足して相対的に熱が強くなり熱証(虚熱)になることもあると考えられます。
・構成生薬
5種の生薬で構成
清熱 ……黄連・黄芩
補血 ……阿膠・芍薬
補陰 ……卵黄※
※卵アレルギーの方へのご使用はお控えください。
清熱作用のある黄連・黄芩が心火を冷まし、補血作用のある阿膠・芍薬、補陰作用のある卵黄が陰を補うため、陰虚から生じる陰虚火旺・心腎不交の症状(心火による熱症状)に適しています。燥性のある清熱薬を含みますが、陰を補う生薬が多いため、陰が不足しやすい高齢者、慢性病の方にも使いやすい配合です。

・不眠に用いられる処方との鑑別
1「熱(興奮)」の症状がより強い実証の不眠
黄連解毒湯:強い清熱作用がある処方で、実熱の方に用いられます。興奮が強く目がさえて眠れないのは同じですが、日中も眠くならないタイプに適しています。
2精神的ストレスの影響が大きい不眠
抑肝散加陳皮半夏:精神的緊張状態が強く、イライラ・抑うつなどの精神症状が目立つ方に適しています。また、歯ぎしりや食いしばりによいといわれています。
3疲れているのに眠れない、虚証の方の不眠
帰脾湯:心身共に疲れ、眠りが浅く、夢をよく見て、夜間に目がさめるような方に適しています。逆に嗜眠傾向で、日中の眠気に悩む場合にも使用されます。
コタロー通信

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