肺炎予防で注目される“口腔ケア「ササヘルス」の呼吸器疾患予防の可能性

　肺炎は、肺（いわゆる「肺胞」）に炎症が起こる病気で、感染性肺炎、非感染性肺炎（アレルギー性の過敏性肺炎など）、間質性肺炎などにわけられます。肺炎で亡くなる方は多く、日本の死因の第5位です。冬になると、肺炎はインフルエンザや風邪の合併症として罹患率が上昇する傾向にあります。また、後期高齢者の肺炎の多くは誤嚥性肺炎であり、予防方法や対策で少しでもリスクを低下させるよう取り組みが望まれます。
（参照：NHK、肺炎の種類まとめ〜それぞれの症状と原因、治療法、予防法について）
口腔ケアで肺炎のリスクを低減
肺炎の予防に重要なもののひとつが「口腔ケア」。口腔内細菌が増加し、それらが気管から肺に侵入 （誤嚥）することで、誤嚥性肺炎の危険が高まります。特に要介護高齢者は複数の病気をもっていることが多く、栄養状態も良くないことから、誤嚥性肺炎などの感染症は重篤化しやすい状態にあります。口腔ケアにより口腔内細菌数を減少させることで、呼吸疾患発症のリスクを低減することができます。しかし、高齢者や有病者では口腔清掃が困難な場合が多く、専門的口腔ケアを受けられないケースもあります。
明海大学歯学部との共同研究により、ササヘルスは、ブラッシングを補完するような、新たな呼吸器疾患予防策の候補となりうる可能性が示されました。
ササヘルスの歯周病菌に対する抗菌作用
歯周病原菌（P. gingivalis）による直接の刺激が、呼吸上皮細胞から炎症性サイトカインを大量に産生することがわかっています。そして、発生した炎症性サイトカインは、肺炎や慢性閉塞性肺疾患（C OPD）の発症と進展に関与します。その一方で、歯周病の治療が肺炎とCOPDの予防に有効であることも知られています。
ササヘルスは明海大学歯学部との共同研究により、歯周病菌（P.gingivalis、Fusobacterium nucleatum Prevotellaintermedia）やむし歯菌（ミュータンス菌）に対して抗菌作用があることが明らかになっています。
ササヘルスの呼吸器における炎症性サイトカイン抑制作用
さらに、ササヘルスは呼吸器上皮細胞において P. gingivalis誘導性のサイトカイン「ILー 8」と「ILー6」産生を濃度依存的に抑制することがわかりました。また、炎症や感染応答、免疫応答、細胞分化、増殖、細胞死などにおいて中心的役割を果たす転写因子「NFーκ歯周病原菌B」の抑制を介して、呼吸器における炎症性サイトカイン産生を抑制することが示唆されました。マウスの肺や気管支においても、ササヘルスの前投与によりP. gingivalis誘導性のILー8とILー6産生が抑制されました。