・経絡と病の関係
中医学の古典「黄帝内経」には、経絡とは気血の通り道であり、例えるなら身体の中の道路や連絡網のようなもので、滞りがあれば栄養は必要なところへ届かず、また、老廃物は回収されないままになります。経絡の状態を常に整えておくことが健康維持に欠かせないということ。
経絡の流れは、ストレスや気候変動の影響、また生活習慣の乱れ何度さまざまな要因で乱れがちです。特に風邪(ふうじゃ)(百病の長と言われる邪気で他の邪気を伴って体内に侵入します。)や湿邪(重く粘り気があり停滞しやすい性質)などが体内に深く入り込むと、関節の腫れや痛みなどが現れやすくなります。湿は長く停滞すると熱邪へと性質を変え、炎症を起こすこともあります。
・虫類薬使用の歴史
中医学では、古くから虫や蛇などは薬として使用されており、薬物学の古典「神農本草経」や、後漢の時代の名医である張仲景による「傷寒雑病論」に薬としての虫の記載が見られます。その後、時代は変わっても虫類は使われ続け、現代おいても伝統を引き継ぎつつ、治療が難しいと言われる経絡などの症候への使用方法が編み出されています。中でも、サソリや蛇、カイコは体に深く入り込んだ風邪を除去し、痛みを鎮めるさようがあるため、リウマチや関節痛の妙薬として重宝されています。
三つの生薬の特徴
・全蠍(ぜんかつ)性:平 味:鹹、辛
キョクトウサソリ科のキョクトウサソリの全体を乾燥したもの。尾の先の針に毒をもちますがタンパク質の分子なので、加工時の加熱により失活します。閉塞した経絡を通じさせる作用は最速と言われ、伝統的に蘄蛇(きだ)と組み合わせて使います。
・蘄蛇(きだ) 性:温 味:甘、鹹
クサリヘビ科マムシ亜科のヒャッポダの内臓と頭を除き乾燥したもの。毒蛇ですが、牙の毒腺にしか毒はなくタンパク分子なので、加工過程で除かれています。使用部位を加熱乾燥後に酒を加え加熱し乾燥させる酒製を行うことで作用を高めます。体の最深部まで入り、風の邪気を駆逐する作用は最強と言われています。
・白疆蚕(びゃっきょうさん) 性:平 味:辛、鹹
ビャッキョウサン菌に感染し、硬直して死んだカイコ。中国大陸では紀元前2700年頃から養蚕の際に発生する白疆蚕(びゃっきょうさん)を利用したのが始まりだとされています。経絡の滞りの原因となる風や痰、熱などの邪気を取り除く働きがあると言われています。

