お知らせコラム

しゃっくり(吃逆)に柿蒂湯(していとう)

しゃっくり(吃逆)は「ヒック」という音が、ある間隔で繰り返される現象であり、MSD マニュアル(家庭版)によると「不随意のけいれんの後に声門が音を立てて素早く閉じることが繰り返し起こるもの」とされています。漢方では、「気が逆上して上に衝きあがり、喉に連続的にヒック、ヒックという音が出る症状」、つまり、しゃっくりを「呃逆(あくぎゃく)」「噦(えつ)」などと称します。しゃっくりは様々な素因による胃気の上逆によって引き起こされると考えられており、しゃっくりに対する最も有名な処方としては「柿蒂湯(していとう)」があげられます。
柿蒂湯は、宋代に厳用和が著した『済生方』を原典とし、丁子、柿蒂、生姜の三味により構成されています。各生薬の基原は『第十八改正日本薬局方』及び『日本薬局方外生薬規格2022』において、「チョウジ Syzygium aromaticum Merrill etPerry (Eugenia caryophyllata Thunberg) (Myrtaceae) のつぼみ」、「カキノキDiospyros kaki Thunberg (Ebenaceae) の成熟した果実の宿存したがく」、「ショウガ Zingiber officinale Roscoe (Zingiberaceae) の根茎で、ときに周皮を除いたもの」と規定されています。
柿蒂については、『本草捨遺』に「蒂を煮て之を服すると噦気を止める」とあり、また、『図経本草』にも「柿蒂を煮て飲めば噦を止める」とあるように、柿蒂の煎じ液にしゃっくりを止める効能があることは広く知られておりました。柿蒂はしゃっくりを止める要薬であり、柿蒂単味でも効果があるとされておりますが、柿蒂湯は、丁子、生姜を加えることで胃を温める作用を強くし、柿蒂の働き
を助けます。現代においても漢方を専門にしている医療機関だけでなく、一部の病院でも柿蒂または柿蒂湯の煎じ薬がしゃっくりに使用されております。また、抗がん剤などの副作用で現れるしゃっくりにも効果があるとされ、用いられることもあります。コタロー漢方ではしゃっくりが生じた際に、煎じることなくすぐに服用できるように柿蒂湯のエキス製剤がございますとのこと。
是非ご活用いただければ幸いです。(コタロー通信517)

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