お知らせコラム

繰り返さない、慢性化させない「のどの炎症」対策

風邪でないのに、のどの痛みや咳などが続いている…。こうした不調を感じている人は、「慢性咽頭喉頭炎」を起こしている可能性も。頭痛や倦怠感などを伴うことも多く、重症化すると呼吸トラブルを招く心配もあるので、不調に気付いたら早めのケアで改善することが大切です。
「慢性咽頭喉頭炎」は体質からの改善がカギ
咽頭と喉頭、いわゆる「のど」の炎症が慢性的に続いている状態を「慢性咽頭喉頭炎」といいます。その主な要因は「急性咽頭喉頭炎」の長期化。ウイルス感染などで起こる急性咽頭喉頭炎が治りきらない状態が続くことで、症状が慢性化していきます。
その他、喫煙や飲酒の習慣、糖尿病、副鼻腔炎、胃腸不良といった病気、大気汚染が原因になることも。
漢方では、のどの呼吸や飲食に関わる器官で、「肺」「脾胃(胃腸)」「腎」「肝」の働きと密接に関係していると考えます。慢性咽頭炎の要因となるのは、風熱の邪気による急性咽頭炎(のどの風邪)の長期化、加齢や慢性疾患による「肺・腎の潤い不足」、ストレスによる「気の停滞」、食の不摂生による「痰湿の停滞」など。こうした体内の不調を改善していくことで、のどの炎症を抑え、症状を緩和していきます。
急性咽頭炎は、喫煙や飲酒でのどが荒れていたり免疫力が落ちていたりすると、症状を繰り返してしまうことも。これが慢性化につながる大きな要因にもなるのでのどの不調が続いている人は、根本から体質を整えることが大切です。

急性・慢性咽頭喉頭炎の対処法
ウイルスなどの邪気はのどを通じて侵入するため、不調があると風邪など病気に罹りやすくなることも。慢性的に不調を感じている人は、しっかりケアをしてのどを健やかに整えましょう。
急性咽頭炎のケア
・風熱タイプのかぜが主な原因に
急性咽頭炎は、主に自然界から「風熱」の邪気が侵入することで起こる症状。のどから入り込んだ邪気が「肺」に熱を発生させ、これがのどに影響して炎症が起こり、痛みや熱感といった不調が現れます。 いわゆる“のどのかぜ” にあたる症状なので、まずは体内の邪気を発散させることが大切。合わせて肺の過剰な熱を冷まし、のどの炎症を抑えましょう。この段階できちんと改善することで再発や慢性化の予防につながるので、不調を感じたら早めの対処が肝心です。
気になる症状
のどの痛み・腫れ・熱感・痛み、咳、痰、声のかすれ、発熱、悪寒、頭痛、舌先が紅い、舌苔が薄く黄色い
食の養生(邪気を発散させ、熱を冷まします。)
大根、白菜、苦瓜、梨、スイカ、緑茶、ミント、菊花、羅漢果、タンポポ、ほおずき、ハンカイダイなど
よく使われる漢方薬
金羚感冒散、五涼華、板藍根
慢性咽頭喉頭炎のケア
・のどの乾燥が強い肺・腎の潤い不足タイプ
「肺」は体内の水分を「腎」に届け、その働きをサポートしています。また、肺はのどの状態と密接にかかわり、腎は全身の潤いの源となる臓器。そのため、肺が乾燥すると腎の潤いも不足しがちになり、これがどの状態にも影響して乾燥や空咳などの不調を招くようになります。
高齢者や慢性疾患(糖尿病、喘息、シェーグレン症候群等)を患っている人などは、特に身体の潤い不足を招きやすいので気をつけて。のどの不調も起こりやすくなるので、体内の潤いを積極的に養うよう心がけ、肺と腎を潤い不足から守りましょう。
気にある症状
のどの乾燥・軽い痛み・かゆみ、午後になるとのどの痛みが強くなる、空咳、声のかすれ、口の渇き、舌が紅く舌苔が少ない
食の養生(身体の潤いを養う食材を)
柿、梅、レモン、グレープフルーツ、トマト、オリーブ、蜂蜜、氷砂糖、卵、クコの実、桑の実など
よく使われる漢方薬
麦味参顆粒、八仙丸、麦門冬湯、冬虫夏草、瀉火補腎丸など
・のどに違和感がある気滞タイプ
「肝」はストレスを発散させ、体内の「気(エネルギー)」 をスムーズに巡らせる働きをしています。そのため、過剰なストレスなどで肝がダメージを受けると、気の巡りも停滞するように。その結果、気の流れが詰まってのどの閉塞感を感じたり、滞った気のエネルギーが熱となって、のどの乾燥を招いたりするようになります。
このタイプの養生は、肝の働きを整え、気の巡りをスムーズに保つことが基本。香りの良いお茶などを上手に取り入れて、日頃のストレスをこまめに発散させましょう。
気になる症状
のどの閉塞感・異物感・乾燥感、ストレスで不調が出やすい、憂うつ、不安感、胸脇の張り、膨満感、疲労感、不眠、舌の乾燥
食の養生(香りでストレスを発散させ、肝を整える)
みかんの皮、金柑、菊花、ジャスミン、しそ、竹の子、ふき、セロリ、菜の花、トマト、レモン、苦瓜、れんこん、海藻類、牡蠣、栗、酢など
よく使われる漢方薬
開気丸、逍遥顆粒、加味逍遙散、心脾顆粒、麦味参顆粒、半夏厚朴湯、麦門冬湯
・のどの腫れ・痰が気になる痰湿タイプ
飲み過ぎ食べ過ぎなどで「胃(胃腸)」がダメージを受けると、水分代謝が落ちて体内に「湿(余分な水分や汚れ)」が溜まるように。これがのどの状態にも影響し、腫れを感じる、痰が絡むといった不調が起こりやすくなります。
このタイプの養生は、まず溜まった湿を取り除き、身体をスッキリさせることが基本。また、過度な飲酒、辛いものや脂っこいものの過食なども胃の負担になるので、食生活を見直し、脾胃を健やかに保つことも大切です。
気になる症状
のどの腫れ、痰が絡む、のどの不調を繰り返しやすい、頭重、身体が重い、口内の粘つき、食欲不振、軟便、疲労感、舌苔がベタつく
食の養生(体内の湿を取り除き、脾胃を元気に)
しそ、はと麦、杏仁、カルダモン、小茴香、春雨、もやし、冬瓜、大根、こんにゃく、バナナ、アロエ、サンザシ、大豆製品、かぼちゃ、山芋、キャベツなど
よく使われる漢方薬
勝湿顆粒、温担湯、補中益気湯、健脾散、健胃顆粒、半夏厚朴湯、晶三仙

暮らしの養生
・毎日のうがい習慣を。紅茶や緑茶などでのうがいもおすすめです。
・のどの刺激なるので、喫煙、飲酒、辛いもの、乾燥した菓子類などは控えめに。
・新鮮な野菜を多めに取り、のどの潤いを保ちましょう。
・排尿、排便をスムーズに保ち、体内に老廃物を溜めないように。
・空気の乾燥はのどの大敵。暖房(エアコン)の使用時は湿度調節も意識して。
・不調を感じたらなるべくのどを休ませて。おしゃべりや歌は控えめに。

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