日本では20代女性の約2割がBMI<18.5の低体重(痩せ)に該当するとされます。SNS などの影響による「痩せ=美」という価値観の浸透、体質性の痩せ、さらには貧困など社会的要因も背景として指摘されています。女性の低体重や低栄養は、骨量の低下や月経周期異常をはじめとする女性の健康に関わるさまざまな障害と関連していることが知られており、出産・育児、将来のQOLなど女性のライフステージ全体に影響を及ぼします。
こうした課題を包括的に捉えるため、日本肥満学会は日本産婦人科学会などと協同し新たな疾患概念
「FUS:Female Underweight/Undernutrition Syndrome(女性の低体重/低栄養症候群)」の枠組みを提唱しました。
(女性の低体重及び低栄養による健康リスクや症状)
〇骨量低下・骨粗鬆症:20 代における骨減少は、将来的な骨粗鬆症リスクを高めると考えられています。
〇月経周期異常、妊孕性及び児の健康リスク:低栄養や極端な体重減少は月経不順や不妊、妊娠合併症リスクの上昇のみならず、近年注目されているDOHaD(Developmental Origins of Health and Disease)の概念においても、妊娠中の母体の栄養状態が児のライフコース全体に影響を及ぼすことが指摘されています。
〇代謝異常:低体重は糖尿病発症リスクとして知られています。また、甲状腺ホルモンT3の減少や脂質異常症(LDLコレステロール上昇)を引き起こします。
〇精神・神経・全身症状:倦怠感、睡眠障害、頭痛、冷え性などの身体症状や、抑うつ、不安、集中力低下、認知機能の低下なども認められます。
〇摂食障害、微量元素やビタミン不足による健康障害(貧血、免疫能低下、味覚異常)etc.
参考:閉経前までの成人女性における低体重や低栄養による健康課題‐新たな症候群の確立について

