足のむくみに九味檳榔湯
足のむくみやだるさの有訴者率は人口千人当たり31.2(令和4年国民生活基礎調査)であり、特に女性に多く見られます。原因となる疾患のない方であっても、足のむくみを気にされている方は一定数いらっしゃると考えられます。今回は、そうした症状におすすめの漢方薬、九味檳榔湯をご紹介いたします。
九味檳榔湯とは・・・
九味檳榔湯は、明治期に浅田宗伯が脚気の初期処方として用いていたことで有名です。脚気が少なくなった現代では、下半身のむくみや倦怠感にお悩みの方に用いられています。
水毒体質(むくみがあり、特に朝は筋肉のこわばりやだるさがある)、便秘傾向の方によいとされます。有名な所見は「腓腹筋の圧痛」ですが、店頭で確認することが難しいため、下記に確認しやすい症状を記載いたします。手足のしびれ・むくみ・痛み・冷え、舌苔・歯痕、甲状腺がはれやすい水毒症状(顔・まぶたのむくみ、顔面の皮膚が白く、鼻先が光る、浮腫傾向)
構成生薬(九味檳榔湯エキス細粒 G「コタロー」の構成)
11 種の生薬で構成
瀉下・逐水……檳榔子・大黄
利水……呉茱萸・茯苓
理気・降気……檳榔子・厚朴・蘇葉・橘皮・木香・桂皮・呉茱萸
健胃作用……生姜・甘草
逐水作用(体内の水分を瀉下によって除く)のある檳榔子・大黄を含み、理気作用のある生薬が多いことから、気を巡らせることで水毒を解消していると考えられます。
浅田家方の九味檳榔湯(9味)に利水作用のある呉茱萸・茯苓を加えることで、より水毒の改善を意識した構成になっています。全体として温性の生薬が多いため、冷えがある方に適しています。なお、瀉下作用があるため、下痢・軟便傾向の方にはあまり適しません。
九味檳榔湯の起源について
現在の九味檳榔湯の原典は、「勿誤薬室方函」とされることが多いです。また、浅田宗伯は「勿誤薬室方函口訣」にて、和方の七味檳榔湯が九味檳榔湯の原形であると述べています。九味檳榔湯の起源には諸説ありますが、一説には、「外台秘要方」に記載の処方をもとに山脇東洋が創製し、山脇東門、原南陽によって現在の九味檳榔湯になったのではないかとされます。
また、弊社の九味檳榔湯(九味檳榔湯加呉茱萸茯苓)は、「勿誤薬室方函」記載の加減をもとにしているとされますが、そちらも厳密な出典を述べるのは難しく、「広済方」、「外台秘要方」、「太平聖恵方」、山脇東洋、山脇東門、和田東郭、原南陽、浅田宗伯の全ての影響を受けて、現在の構成に至ったと考えられています。
参考:小山誠次
「九味檳榔湯加呉茱萸茯苓の成立事情」漢方研究2013年10月
「九味檳榔湯の出典再検討を経た最終的結論」漢方研究2011年2月

