コラム

目は内臓の鏡 飲む目薬、杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)

中医学では、目は五臓の働きや精気の状態が現れる場所であり、
五臓や精気が充実していれば物が良く見えると考えてきました。
また、目の各部位の状態を知る「五輪学説」という理論があります。
五輪学説では視力に重要な役割を果たす瞳孔や角膜は腎と肝に関連しています。
 

飲む目薬、杞菊地黄丸
杞菊地黄丸は中国では「飲む目薬と」と呼ばれ、
疲れ目や視力減退に効果があります。
また虚弱体質や耳鳴り、めまいにも使われる薬です。
「目ぐすり」なのになぜ体の不調にも使われるのでしょうか?

病気を元から治す
中医学の基本は「弁証論治」。病気そのものではなく、病気の原因や体質に注目して治療します。
例えば、目の疲れによる視力の減退の原因は、基本的に肝腎陰虚(肝と腎の陰液不足)です。
でも肝腎陰虚で起こるのは、視力減退だけではありません。めまいや口の渇き、手足のほてりなど…
中医学では不調の原因である肝腎陰虚を解消すれば、これらの症状を同時に治せると考えます。
これを「異病同治」といいます。反対に、同じ病気でも原因が異なる場合は「同病異治」と言って、飲む薬も変わってきます。

杞菊地黄丸のルーツ
杞菊地黄丸のもとになったのは、六味地黄丸です。六味地黄丸は八味地黄丸から作られました。
八味地黄丸は今から2千年ほど前に作られた薬です。今でも腎陽虚による冷え、足腰のだるさ、排尿異常など、主に年配の方の下半身に現れる不調に使われています。
この八味地黄丸から、桂枝と附子という身体を温める生薬を取り除いたのが、六味地黄丸。腎精不足による子供の発育不良、虚弱体質の薬です。主に腎陰を補うので、大人の腎陰虚によるのぼせ、手足のほてり、口の渇きなどに用いられます。
この六味地黄丸に肝と腎を補う枸杞子と、肝を鎮めて熱をとる菊花という目に良い二つの生薬を加えたのが杞菊地黄丸です。

はたらき
肝と腎の陰液不足による疲れ目、かすみ、視力低下、目が乾燥してゴロゴロする、風に当たると涙が出る、などの目の症状を改善し、手足のほてりや口の乾燥、のぼせ、頭が重く感じる、めまい、むくみ、尿量減少または頻尿などの排尿障害に用います。

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