お知らせコラム

元気の処方箋(日経7/23コラム)

自分で痛みを減らすには…
学生の夏休みのこの時期。
日焼けの後の入浴で肌がひりひりと痛くなった経験はないでしょうか?
それは日焼けによるやけどで痛みの閾値が低下したためです。
「閾値とはある刺激を感じるか感じないかの境界線である。」
痛みの閾値を超える刺激は痛いと感じ、越えない痛みは痛いと感じない。
この閾値には個人差があり、同じ個人でも変動します。
火傷やけがなどの強い急性炎症では閾値は低下する。
そのためシャワーや触れる程度の刺激でも閾値を簡単に超えて痛みとして感じてしまう。
微細な慢性炎症も同様で冷風や天気の変化でも痛みを感じることがある。
他にも血流が悪いと閾値は下がる。冷え切った体でお風呂に浸かるとジンジンし、正座でしびれた足に触るとはね飛び上がるほどの痛みを感じることがある。
長時間の同じ姿勢でも閾値は下がり、寝起きや立ち上がり、歩き始めなど静から動への移行時にも痛みを感じやすい。心配事があって暗い気持ちやネガティブな感情でも閾値は下がる。子供の注射など恐怖は痛みを増強させる。
「逆に閾値を上げてくれる代表例といえば鎮痛薬である。」
鎮痛薬は根本治療ではなく痛みを感じさせにくくさせる対処療法であるため、薬効が切れると閾値は下がり再び痛くなる。気分が高揚したり楽しい、うれしいなどポジティブな感情の時には閾値は上がる。好きな人と夢中になって会話しているときに痛みを忘れた経験はないだろうか?
ランナーズハイが有名だが、運動でも閾値は上がる。ハードなランニングや筋トレではなくても、ストレッチやウォーキング程度の運動でも継続することで痛みの抑制効果があります。
これらはベータエンドルフィンやドーパミン、オキシトシンなどの脳内物質の放出によって閾値が上がる現象とされています。
もし痛みが悩んだ時には、閾値が下がるような思考や行動は避け、まずは体を動かすことから始めてみましょう。(7/23日経新聞元気の処方箋)

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