お知らせコラム

慢性腎臓病 夏に注意

・新たな国民病「慢性腎臓病」
日本では、高齢化に伴い、慢性腎臓病(CKD)の患者さんが増えています。
新たな国民病とも言われ、約1300万人もの患者さんがいるとみられています。
慢性腎臓病とは、慢性的に腎臓の機能が低下する病気の総称で、主に、糖尿病腎症やIgA腎症などの慢性糸球体腎炎、高血圧症による腎障害(腎硬化症)が挙げられます。
初期にはほとんど自覚症状がなく、むくみやだるさといった症状が現れたときは、すでに進行してしまっていることが少なくありません。進行すると、透析治療や腎移植が必要になります。
・貧血や心血管疾患の危険大
腎機能が低下して体内の水分量が増えると、むくみを生じやすくなります。さらに、腎臓の役割の一つである造血機能が低下すると貧血が、血圧の調整が乱れると高血圧症が、ビタミンDを活性化できなくなると骨軟化症が起こりやすくなります。
また、慢性腎臓病の患者さんは心臓病や脳卒中にかかりやすく、下肢の動脈が狭くなったり、詰まったりしやすいことがわかっています。
慢性腎臓病を引き起こす原因は、加齢のほか、肥満やメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)など生活習慣病です。
一方で、やせ過ぎの方も慢性腎臓病になりやすいという指摘もあります。
原因として最も多いのが高血糖で、高血糖の状態が続くと動脈硬化が進行し、糸球体のろ過機能が低下します。また、高血圧の状態は血管に大きな負担をかけて動脈硬化を進行させます。
腎臓の糸球体は毛細血管の塊といえる構造のため、高血糖や高血圧によって機能が著しく低下します。
・夏は腎機能が低下しやすい
低血圧も腎機能の低下につながります。脱水症状などによって血圧が低下すると、毛細血管の末端にまで酸素や栄養が届かなくなり、腎臓の機能も低下してしまうのです。
低血圧につながる水分不足や脱水症状が起こりやすい夏は、特に注意が必要です。ある大学の医学部の研究では、高血圧の患者約100人(慢性腎臓病の患者約50人)を対象とし、腎機能の変化を約1年かけて調査したところ、慢性腎臓病の有無にかかわらず、夏に腎機能が低下しやすい傾向にあるとのことです。さらに、慢性腎臓病の患者の方が腎機能が低下しやすいことが分かったとのことです。
慢性腎臓病の方は、水分を過剰に摂取すると排泄が追いつかなくなり、全身にむくみを生じてしまいます。水分量の調節は難しい問題ですが、腎機能を守りながら厳しい夏を乗り切ることが重要です。

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