お知らせコラム

体内の乾燥注意報は中医学で対処!

秋の季節は乾燥がつきものです。
空気が乾燥し、肌がカサカサし、しわが目立ち、潤いを失い、ごわつくようになるのも季節の特徴といえます。初秋のうちは厳しい残暑がまだ続きますが、中国では厳しい残暑を“秋老虎”といいます。
乾燥の気がからだを損傷する場合、
「燥邪」となり病気を引き起こします。肺は呼吸を主り、体の内外の気体交換を行う場所で、潤いを好み、乾燥を嫌い、また、肺は燥邪により損傷されやすい臓器です。
初秋に発病する人は「燥熱」の症状が著しく見られます。
発熱、やや悪風、頭痛、空咳、あるいは痰があるけれど量が少ない、咽と鼻が乾燥する、口が渇く、舌質の尖辺が紅い、苔が薄くて白い、舌苔の乾燥などが見られます。
晩秋に発病する人には「寒重熱軽」が現れ、悪寒、頭痛、無汗、咳嗽、稀薄な痰、鼻詰り、咽の渇き、舌苔が白い、などが見られます。
『温病学』では、前者は“温燥”、後者は“涼燥”と分類されます。どちらのタイプも、風邪やインフルエンザなど上気道感染症の症状と同じとなります。
『医学伝灯』(清代・陳徳求・紀元1700年)には、“一交秋分、燥金司令、所起之風、全是一団燥列之気、干而不潤、是以無草不黄、無木不凋、人身応之、燥病生焉。凡有身熱咳嗽、内煩口干、一切百病、無不起于燥。”(翻訳文:季節の交は秋分となると、燥金は時令を司る。生じる風は全て一団の燥烈の気となり、乾燥で潤いなし、ゆえに草も木も枯れてしまう。体もそれに応え、燥病が生じる。発熱や咳、煩躁や口乾くなど一切の百病は燥から起きないものはない所以。)と記載されています。『四気調神大論』には、“秋三月、使志安寧、以緩秋刑;収斂神気、使秋気平;無外其志、使肺気清。此秋気之応、養収之道也。”(翻訳文:秋の3カ月間は、気持ちを穏やかに保つことで、秋の粛殺の気候が体に及ぼす影響を緩やかにする。精神を引きしめ、秋気の影響を過度に受けないようにする。志を外に出さなければ、肺気を清らかにすることができる。以上は秋気の対応方法であり、養生の道である。)と、養生法が記されています。
上気道感染、風邪を予防するには、上気道の粘液の潤いが大事です。鼻腔や気管といった気道の上皮に「線毛」があり、侵入しようとするウイルスなど異物をキャッチし、外へと押し出すと、「痰」という形で喉の方へ排出されます。体内外の湿度(潤い)を保つことでこれらの働きがスムーズになります。
秋の乾燥に加え、体内の津液が不足している状態で、例えば、高齢者や子ども、糖尿病患者などでもともと陰液が不足しがちな場合、また、夜勤や夜更かし、激しい運動をする場合にも陰液を消耗しやすく、結果、上気道の粘液の潤いが少なくなるので、線毛が十分に活動できず、ウイルスなど異物を排出できなくなり、感染症を起こしやすくなります。
“温燥”には、「清宣涼潤」の漢方薬
“涼燥”には、「宣肺化痰」の漢方薬を選びます。
中医五行学説では、秋と肺は相応するとされます。燥邪からの損傷を抑えるために、収斂と潤いの漢方薬を使います。
秋の代表的な果物の梨は潤肺止咳であり、その他の季節的なものの銀杏、栗、蓮根なども肺の養生に適しています。

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