お知らせコラム

きのこの驚くべき力

10月はきのこの最盛期です。きのこは低カロリーだが、注意すべきはその栄養素です。水溶性植物繊維は血糖値の上昇を抑え、コレステロールの排泄を助けます。不要性食物繊維は便の硬さを増して善導を刺激し、老廃物の排泄を促進します。その他、疲労回復効果のあるビタミンB1、脂質の代謝を助け皮膚や髪などを健やかに保つビタミンB2、骨を丈夫にするビタミンD、ナトリウムを体外に出してくれるカリウム、骨や歯を作るリンなども豊富に含まれています。
きのこにはβグルカンという成分も含まれ、薬用に用いられるほどの効果が認められています。食物繊維の一種なので腸で善玉菌の餌になるだけでなく、マクロファージという免疫細胞を活性化します。
実際、カワラタケやシイタケ、スエヒロタケなどはがんの治療に薬品として用いられています。古くから生薬として利用されてきた霊芝(れいし)(マンネンタケ)は医学論文を総合的に評価する英国の国際組織「コクラン」のライブラリーで唯一、抗腫瘍活性が報告されています。その他にもメシマコブ、アガリスク(カワリハラタケ)、カバノアナタケ、冬虫夏草、猪苓(ちょれい)、茯苓(ぶくりょう)など、食用ではないが優秀なきのこは目白押しあります。
βグルカンはきのこに共通する成分なので、食用きのこにも抗腫瘍効果が期待できます。特に胃がんについてはブナシメジ、ナメコ、を週1回以上食べる人は食べない人に比べて優位にリスクが低い。エノキタケを週1から2回以上食べる家庭の医がん死亡率はほとんど食べない家庭の50%以下という報告もあります。βグルカン以外にも有用な成分はあります。カワラタケにはPSK、霊芝にはガノデリン酸、冬虫夏草にはコルジセピン、カバノアナタケにはベツリン酸という強力な成分が含まれており、固有の薬となります。
一日一回きのこを食卓に加えることをおすすめします。(日経10/8 神奈川歯科大学大学院特任教授・医師 川嶋朗)

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