お知らせコラム

貴重な羚羊角配合の銀翹散(加減方)製剤・・・つまり金羚感冒散・錠

現在、入手が困難となりつつある生薬に「羚羊角(レイヨウカク)があります。
羚羊角は、ウシ科のサイガの角を原料とした生薬です。
サイガはサイガカモシカとも呼ばれます。カモシカという名前がつきますが、ニホンカモシカとは全く別の種です。主な生息域は、ロシア、カザフスタン、モンゴルです。節のある角と大きく膨らんだ鼻、細い足が特徴で、「カモシカのような足」の由来となった動物とも言われています。
以前から「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約 (ワシントン条約、CITES)」によって保護されていましたが、2015 年に全世界の生息数の半数近くに上る 20 万頭以上が細菌感染による出血性敗血症によって大量死したため、その数を大きく減らしたことで注目を浴びました。
サイガはワシントン条約の付属書II類に分類されているため、輸出国政府機関が発行した輸出許可書があれば輸入することができます。
しかし、2019 年に行われたワシントン条約第 18 回締約国会議でサイガに係わる規制が強化され、実質的に輸入することができなくなりました。そのため、厚生労働省より「令和2年3月 13 日付け薬生薬審発 0313 第1号 厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知」が出され、レイヨウカクを削除した製品への代替新規申請が可能となりました。
銀翹散は原典の『温病条弁』では羚羊角でなく「芦根(ロコン)」が配合されていますが、日本ではこの配合での製剤がありません。日本では羚羊角が配合された銀翹散(加減方)製剤(金羚感冒散・錠)が主に使われてきました。
急性熱性感染症、かぜによるのどの痛みなどによく使用される銀翹散(加減方)製剤(金羚感冒散・錠)において、羚羊角が重要な役割を果たしていると思われます。

羚羊角と芦根の比較
羚羊角(れいようかく)
(基原)ウシ科のサイガ Saiga tatarica L.の角
(作用)清熱瀉火、解毒、平肝熄風、止痙、解熱・鎮痛作用、中枢神経抑制作用、降圧作用などが知られ、高熱、痙攣、意識障害に用いられている。

芦根(ろこん)
(基原)イネ科のヨシ(アシ) Phragmites australis Trin.ex Steud.の根茎
(作用)清熱、生津止渇、徐煩、止嘔、熱病の初期などで津液が不足した際の口渇などに使用する。

のどが赤くはれて痛む、熱っぽい風邪に・・・
金羚感冒散(きんれいかんぼうさん)
風邪は、悪寒、発熱、頭痛やノドの炎症を伴う疾患で、一般に風邪症候群といわれます。その原因が主としてウイルスであることから、対症療法が中心となります。漢方では寒気が強く、タラタラとうすい鼻水や痰が出て、節々が痛いものを「傷寒」といい、熱っぽく(発熱)、のどが赤くはれて痛み、鼻水や痰が粘り、口が渇くものを「温病」といいます。金羚感冒散は温病の代表的な風邪薬です。

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