冬場は服装の厚着で動きにくくなり、寒さで筋肉も思うように動かなくなるため、転倒事故が増えます。また、運動機会の減少による筋力低下の影響もあり、ロコモティブシンドロームになりやすい季節と言われています。
今回紹介させていただく独歩顆粒(独活寄生丸)は、ロコモティブシンドロームにも用いられる機会が多く、基本処方として考えていただくと更に応用範囲も広がると考えられます。
下記に、ロコモティブシンドロームに対する漢方的な考え方と独歩顆粒(独活寄生丸)の特徴と応用についてまとめます。
・ロコモティブシンドロームに対する漢方的な考え方
五臓理論の五体に関係する骨を主る「腎」、筋を主る「肝」、肌肉を主る「脾」の衰えが運動器の弱りにつながる。
・処方構成の特徴
①補益肝腎・強筋骨(桑寄生、杜仲、牛膝):筋骨を強くする
②気血双補(八珍湯去白朮 ※人参は党参):消化器の衰えを治し、エネルギー・栄養不足を改善
③袪風寒湿・解表(唐独活、秦艽、防風、桑寄生、細辛、川芎、当帰、桂枝湯去大棗)
外部要因(風・寒・湿)の邪による影響を改善
④活血化瘀(牛膝、当帰、川芎):血流を改善
⑤利水(茯苓):水分バランスを改善
・適応病証とロコモティブシンドロームに対する効果
気血両虚(脾虚・肝血虚)、腎虚、風寒湿痺のロコモティブシンドロームにつながる腎・肝・脾へ
のフォローだけでなく、季節による影響(風寒湿邪)への対策も可能
・具体的な運動器トラブル
長く歩くとつらい、段差によくつまずく、なかなかよくならない痛みやしびれ