高さ10メートル以上になる常緑高木、クスノキ科のケイは、古代エジプトの古文書にも記載があるように、古くから薬や香辛料として利用されてきました。日本では遣唐使によって持ち込まれたものが正倉院に収められています。
生薬の桂皮は、ケイ(Cinnamomum cassia J. Presl)の樹皮又は周皮の一部を除いた樹皮を乾燥させたもので、中国産やベトナム産が多く流通しています。
桂皮には発汗・解熱、鎮静、血行促進、鎮痛などの働きがあるとされ、感冒、神経症、婦人病、疼痛疾患などに用いられます。桂皮を配合した処方は多く、葛根湯、桂枝茯苓丸、八味地黄丸などが有名です。なお、江戸時代には和歌山、高知、鹿児島などの暖地で栽培されていたニッケイは、桂皮とは異なる基原の植物でありますが、「ニッキ」などと呼ばれて菓子に使われ、独特の味と香りが親しまれてきました。