目が痒い・痛い、目の充血がひどい、目やにが多い、そのような目の症状にお困りの方はいらっしゃらないでしょうか?
これらの症状は「風熱」によるものと考えられます。
「風熱」による目の症状には洗肝明目湯がおすすめです。「風熱」とは風邪と熱邪が結合したもので、2つの邪の性質が混在しています。よって「風熱」による目の症状には、上記の他、眼瞼の発赤腫脹などがあります。典型例が花粉症などのアレルギー性結膜炎で、その他、淋菌性結膜炎やものもらい(麦粒腫)などの感染性の眼疾患も含まれると考えられます。
洗肝明目湯の原典である『万病回春』(龔廷賢著・1587 年)には「洗肝明目散、一切の風熱にて、赤腫し、疼痛するを治す」と書かれており、「風熱」が病因である旨が明記されています。
洗肝明目湯の構成生薬は当帰・川芎・芍薬・地黄・黄連・黄芩・山梔子・連翹・薄荷・石膏・桔梗・決明子・蔓荊子・菊花・蒺䔧子・甘草・防風・荊芥・羌活です。
その主な働きを整理すると、
1清熱作用 :黄連・黄芩・山梔子・連翹・薄荷・石膏・桔梗
2祛風・解表作用 :薄荷・連翹・菊花・蔓荊子・防風・荊芥・羌活
3補血・活血作用 :当帰・川芎・芍薬・地黄
4明目作用 :決明子・菊花・蔓荊子・蒺䔧子
となります(一部重複あり)。
1の働きによって「風熱」の「熱邪」の性質を抑え、
2の働きによって「風熱」の「風邪」の性質に対抗することで、効果的に「風熱」の邪を駆逐します。3の働きは「風熱」によって血が消耗されて目の乾燥などを伴った場合に、その修復に役立ちます。
そして、最も特筆すべきは4の働きです。
「明目」とは目の炎症や視力減退などの目の諸症状を改善する作用で、これらの生薬が配合されることにより、1~3の薬効を目にしっかりと効かせることができます。
また、この洗肝明目湯は荊芥連翹湯と生薬構成がよく似ており、19 種類の生薬のうち 13 種類が共通しています。大きな違いは上述の明目作用を持つ生薬の有無で、洗肝明目湯は「荊芥連翹湯のような働きを目に効かせる処方」と解釈することも可能です。荊芥連翹湯は一貫堂医学の「解毒証体質」の治療薬で、現代ではアレルギー体質の改善によく用いられます。このことから、洗肝明目湯は「荊芥連翹湯のようなアレルギー体質改善作用を目に効かせる処方」と言っても良いのではないでしょうか。アレルギー性結膜炎、感染性の眼疾患など、「風熱」による目の症状に洗肝明目湯を是非ご活用ください。(コタロー通信)