2023 年の花粉の飛散量は、前シーズンよりも多くなる(東北~九州)見込みです。外出する機会も増えた今、花粉対策が重要です。抗ヒスタミン薬を服用する方も多いですが、眠気や集中力・思考力の低下を引き起こすことがあり注意が必要です。漢方薬はそのような心配が少なく、しかも各個人の症状や体質に合わせた治療が可能です。ぜひ花粉症のお悩みに漢方薬をご活用ください。
・衛気(えき)の強化
衛気は、漢方医学では外邪(花粉)から体を守るバリアのような働きを持つと考えられています。花粉症の方の中には、その衛気が弱っている方がいます。衛気の働きを回復することで、症状の軽減が期待できます。
≪衛気の強化に おすすめの方剤≫
玉屏風散:衛気不足の代表薬。衛気を補うとされるオウギ(黄耆)の配合が多い。
黄耆建中湯:胃腸が弱く、全身的に気が不足しているという方に。
・各症状に対する漢方薬
花粉症ではサラサラした水っぽい鼻水が多いタイプと、乾燥傾向で頑固な鼻閉のタイプ、また、その中間など様々なタイプがあります。
・くしゃみ、水様性鼻汁に おすすめの方剤
顔色が悪く、鼻水はサラサラと透明で、水のような鼻水が出るタイプ。漢方医学的には「肺」を温める漢方薬を用いることで症状が軽減します。
小青竜湯:アレルギー性鼻炎に用いられる代表薬。水様性鼻汁、くしゃみが主体。
麻黄附子細辛湯:小青竜湯タイプに近い。冷え、倦怠感が強くみられる場合に。
・水様性鼻汁と鼻閉の混合タイプに おすすめの方剤
「肺」を温める漢方薬に、鼻通りを改善するシンイ(辛夷)を配合。
葛根湯加辛夷川芎:鼻水と鼻づまりが混合しているタイプに。
麗沢通気湯加辛夷:鼻づまりに加え、嗅覚障害など鼻の機能低下を伴う場合に。
・頑固な鼻閉、粘稠な黄色い鼻水、皮膚・目のかゆみに おすすめの方剤
鼻閉、黄色っぽいネバネバした粘稠な鼻水、温まると症状が悪化するタイプ。漢方医学的には熱(炎症)が強いと考えて、炎症を鎮める漢方薬が用いられます。辛夷清肺湯:粘り気のある黄色い鼻水、鼻づまり、蓄膿症にも。
荊芥連翹湯:慢性鼻炎、蓄膿症の他、首から上の皮膚のかゆみに。
洗肝明目湯:目の充血、かゆみ、痛みに。
〇花粉症の生活養生アドバイス
・外出は飛散量が多い時間帯をさける。一般に、昼(11~14 時)と夕方(17~19 時)。
・外出時には、表面が毛羽立った衣服の使用は避け、帰宅時には花粉を室内に持ち
込まないよう、髪や衣服についた花粉をブラシなどで払ってから家に入る。
・帰宅後は、手洗い、うがい、鼻をかむ、洗顔をする。