コラム

めまいに用いる漢方薬

水分貯留や停滞を引き起こしやすい梅雨から夏場。この時季に増加する症状にめまいがあります。『渓心法』には、「痰なくば眩をなさず」、『万病回春』には、「おおよそ、頭眩は痰なり」とあり、病的な水分貯留や停滞(水滞)はめまいへの関連が深いと考えられています。
基本的には、水滞を除く利水剤を用いることが多い病態ですが、水滞症状に加えて、頭部への栄養不足(気虚、血虚)や交感神経の高ぶり(肝陽上亢)、加齢症状(腎虚)が併存していないかを確認いただくことで、より最適な処方選択に繋げることができます。本日は、めまいに用いる代表的な漢方薬についてご紹介いたします。
〇漢方薬をご提案いただく前に!
必ず、危険なめまい(脳梗塞や脳出血に関わるもの)ではないことを確認してください。下記の項目に該当するものがあれば、医療機関への受診をすすめてください。
 急にしゃべりにくくなり、言葉がもつれるようになった。
 片側の手足に力が入りにくくなり、よろけてこけそうになる。
 激しい頭痛があり、症状がどんどん悪くなっている。

〇めまいに用いる漢方薬
【沢瀉湯】
適応病態は水滞で、急性症状が顕著なものにファーストチョイスとして用いることができます。利水薬 2 味(沢瀉、白朮)によるシンプルな構成で、加味剤としても用いやすい漢方薬です。日頃から、水分摂取が多い(お酒をよく飲む)方は、利水薬の代表である五苓散や、利胆・消炎作用が強化された茵蔯五苓散もおすすめです。
【連珠飲】
適応病態は水滞に加えて、気逆、血虚があるものです。貧血気味で動悸するめまいに用いることができます。起立性低血圧(立ちくらみ)に頻用される苓桂朮甘湯に、四物湯が組み合わさった構成となっています。
【釣藤散】
適応病態は水滞に加えて、肝陽上亢があるものです。高血圧を伴うめまいに用いることができます。ストレス刺激に弱く、怒りっぽく、頭痛や目の充血などの症状があることも特徴です。
燥湿化痰薬(痰と余分な水分を除く)の二陳湯の構成を含み、肝気の暴走を鎮める釣藤鈎、菊花が配合されています。
同様のタイプで腎虚が顕著な場合は、六味丸に熄風、清熱作用が強化された杞菊地黄丸もおすすめです。
【滋腎通耳湯】
適応病態は腎虚、肝気鬱結があるものです。加齢症状があって、さらにのぼせやほてり、耳鳴りを伴うケースに用いることができます。肝腎の陰虚を補う四物湯を基本に、陰虚に伴う肝腎の内熱の抑制(柴胡、黄連、黄柏、知母)や気の巡りの改善・調整(柴胡、芍薬、白芷、香附子)が期待できる配合となっています。水滞の併存には、上記の沢瀉湯あるいは五苓散も同時に用いることをおすすめします。
(コタロー通信)

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