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便秘に…大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)(小太郎漢方新聞)

大黄甘草湯は、その名前の通り大黄と甘草の2種類の生薬からなるシンプルな漢方薬です。
便秘に用いる基本的な組み合わせで、大黄の強い瀉下作用を甘草が緩和することで快適に便通をつけることができると考えられています。この組み合わせは、調胃承気湯や桃核承気湯、通導散のほか、永田徳本が用いたとされる順気丸にもみられます。
大黄といえば便秘の薬と思われる方が多いですが、漢方的には気を降ろす、熱を去る、血流の停滞を解消するなどの働きも持つとされています。原典の「金匱要略」では「食べるとすぐに吐いてしまう」場合に用いるとされ、今のような瀉下剤のイメージとは異なる記載になっています。その後、唐・宋代になると便通に関する記述も見られるようになり、現代の使い方が定着していったと考えられます。

大黄(だいおう)
主に中国の甘粛、四川、雲南などに分布するタデ科の多年草で、茎は高さ約2メートル、葉の直径は60センチから1メートルにもなり、夏頃、紫紅色か黄白色の小花を多数つけます。根茎と根は太く、肉質で断面は黄色。
重要な薬用植物として古くからヨーロッパや日本にも伝えられました。イギリスの王立植物園キュー・ガーデンの薬草博物館にはシルクロードを運ばれた大黄が陳列されています。日本にも1200年前に渡ってきたものが正倉院にあり、今でも有効成分が残っているといわれています。
錦紋大黄、雅黃、馬蹄大黄などの種類があり、日本では北海道、長野県で栽培されています。最も重要な薬効は瀉下作用で、ほかに抗菌、消炎、止血、鎮痛など広範な目的に応用され、便秘、炎症症状、神経症状などに用います。
大黄甘草湯、防風通聖散、桃核承気湯、乙字湯、麻子仁丸など多くの処方に配合されています。
(小太郎漢方新聞)

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