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梅雨の時期の消化器症状に勝湿顆粒(藿香正気散)・麦味参顆粒(生脈散)

梅雨の時期の消化器症状に藿香正気散(勝湿顆粒)・生脈散(麦味参顆粒)
暑くてじめじめとした梅雨の時期は、食欲不振、下痢、食あたり・水あたり、腹痛・下痢・嘔吐を伴う感冒など、消化器症状を訴える方が多くみられます。五臓の脾には、飲食物を消化・吸収し、その栄養を全身に届ける役割があるとされています。梅雨の時期の消化器症状は、そのような脾の機能が湿邪(過剰な湿気)によって妨げられることで起こると考えられています。また、湿邪は粘着質で、重く、停滞する性質があるため、体の重だるさ、頭重感、むくみなどの症状も伴う傾向にあります。治療薬としては、外界の湿邪(外湿)の影響に対処しながら体内の停滞した水分(内湿)を取り除く漢方薬が適しており、中でも急な消化器症状を訴える場合には「藿香正気散(かっこうしょうきさん)」が選択されます。藿香正気散は、夏の感冒、暑さによる食欲不振、下痢、全身倦怠に用いられる漢方薬です。明治時代に浅田宗伯によって著された『勿誤薬室方函口訣』(1878)には藿香正気散について「この方は、元(もと)嶺南(中国・南嶺山脈より南部)の方にて、山嵐の瘴気(南方の高温多湿の風土病、瘧疾の類)を去るが主意なり。それより夏月に脾胃に水湿の気を蓄え、腹痛し下痢して、頭痛・悪寒する等の外症を顕すものを治す。世に不換金正気散と同じく夏の感冒薬とすれども、方意は大いに異なり」と解説されています。藿香正気散は、平胃散をベースに、藿香、蘇葉、白芷などで芳香化湿、茯苓・半夏で利水、大腹皮・桔梗で理気が強化されています。主薬の藿香はシソ科のパチョリの地上部を基原とします。爽やかな強い芳香が特徴で、芳香健胃、吐き気を鎮める働きがあります。藿香正気散は、半夏厚朴湯(小半夏加茯苓湯+蘇葉・厚朴)と二陳湯(小半夏加茯苓湯+陳皮・甘草)の組み合わせも含み、胸のつかえや吐き気を鎮め、胃部の水分や飲食物の停滞を解消する効果が期待されます。梅雨の消化器症状に、藿香正気散をぜひご活用することをお勧めします。
◎藿香正気散にプラスワン!
回復期には「生脈散(しょうみゃくさん)」
嘔吐や下痢は、体力(気)を消耗するだけでなく、身体から多くの水分(水)が失われるため、回復させるには、気と水の両方を補うことが必要となります。そのような嘔吐・下痢による「体力と水分の消耗」には、生脈散がおすすめです。
生脈散は人参・麦門冬・五味子で構成され、人参で補気し、麦門冬で補陰(水)し、五味子の固渋作用で気と水を体に留める働きが期待できます。それらの働きにより、失われた体力・水分の回復を促します。梅雨の消化器症状の回復期には、生脈散をぜひご活用ください。(コタロー通信)

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