百合(ビャクゴウ)について
「立てばシャクヤク,座ればボタン,歩く姿はユリの花」という言葉があるように、ユリは代表的な美しい花のひとつです。ユリは夏の花としてよく知られており、6月~8月頃にかけて花を咲かせます。
花の色は、白や赤、黄、橙など多くの種類が存在し、色によっても花言葉の意味が異なるそうです。また、食用に用いられるユリ根はオニユリの鱗茎であり、茶わん蒸しなど和食に取り入れられています。このように身近なユリは生薬百合(ビャクゴウ)としても使用されています。
『日本薬局方』では、百合の基原は、
ユリ科のオニユリ Lilium lancifolium Thunberg、
ハカタユリLilium brownii F. E. Brown var. colchesteri Wilson、
Lilium brownii F. E. Brown 又は Lilium pumilum De Candolle の鱗片葉を、通例、蒸したものであると規定されており、肉厚で黄白色、半透明で堅く充実したものが良品とされています。
『神農本草経』の中品に「味は甘く平。川谷に生ず。邪氣、腹脹、心痛を治し、大小便を利し、中を補い、氣を益す。」と収載されており、呼吸器系の津液を潤し、痰を除き、咳を止める作用や気を補い精神を安定させる作用を目標として使用されてきました。
百合が配合されている処方には、辛夷清肺湯があり、慢性的な鼻炎や鼻づまり、蓄膿症、黄色い痰等の呼吸器の炎症に用いられます。辛夷清肺湯は、全 9 種類の生薬(辛夷、知母、百合、黄芩、山梔子、麦門冬、石膏、升麻、枇杷葉)で構成されており、このうち百合は、消炎・鎮咳・鎮静効果を示し、麦門冬とともに粘膜を潤し、鼻汁や痰の排泄を促します。
慢性的な鼻づまりや咽頭の乾燥でお困りの方には、辛夷清肺湯もご検討していただければ幸いです。
(コタロー通信)