漢方・中医学では、肝は肝臓の機能だけでなく、
中枢神経、自律神経系の調節、新陳代謝作用、気血の流れをコントロールして、
精神や感情を安定させる役割があります。
さらに血液を貯蔵し、必要に応じて供給する調節機能も果たしています。
主な機能は以下の4つです。
・肝は疏泄(そせつ)をつかさどる
疏泄とは、血流調節、新陳代謝、精神活動、筋肉の正常な活動、
月経調節などの気血を身体の必要な場所に送り届け、正常に働かせることです。
肝の疏泄が正常であれば、身体的精神活動も活発となり、情緒が安定し、
内臓の働きや血液循環が順調になります。
肝はやる気や身体的活力を促すことで、体を若々しく保つ臓器とも言われます。
・肝は罷極(ひきょく)の本
「罷」は「疲」の字と極めて近い意味で、力が萎えてだらりと弛緩した様子を示します。
「極」は張り切り過ぎて緊張し、疲れる様子を示しています。
つまり、「肝は罷極の本」という漢方・中医学の言葉は、肝臓は心身の弛緩と緊張をつかさどり、
活動エネルギーや疲労の根本に関与する臓器であることを示していると言えます。
そのため肝の働きが低下すると、休息を十分とり滋養をつけても、慢性的なだるさや疲れが取れず、やる気が出ず、億劫な気分から抜け出せなくなります。
・肝は血を蔵(ぞう)す
「肝」は血液のタンクです!
肝は血液の貯蔵庫と考えられています。
必要に応じて血液をどう分配するか、その調節も行っています。
休息時や睡眠時、血液の大部分は肝に貯蔵され、
活動時に必要とされる器官(脳、筋肉、内臓)に送り出されます。
肝はやる気や身体的活力をつかさどり、新陳代謝を促すことで、体を若々しく保つ臓器とも言われています。
・肝の臓血機能や調節機能が低下すると現れる症状例
月経の乱れ、爪が割れやすい、疲れやすい、眠りが浅く良く目覚める、めまい、
やる気が出ない、睡眠時夢をよく見る、足がつりやすい、情緒不安定、目のかすみ、
流産体質、爪が薄い、目の疲れなど・・・
・肝は筋健をつかさどり、その華は爪にあり、目に開竅する
筋健とは、筋肉と骨についている健、筋膜、じん帯を指します。
肝は血液循環によって筋腱に栄養を送り、機能の調節をはかります。
その働きの良し悪しが爪の状態にあらわれます。また、
目は五臓六腑すべてと関係しますが、特に肝と密接な関係を持っています。