人生を燃え立たせるエネルギー
人間は、両親から生命のエネルギーを授かって生まれてきます。
これが、元来の「生命力」。
そして東洋医学では生命力は腎の中で燃えていると考え、
この日を「命門の火」と名付けています。
命門の火を燃やし続けること…これが人生の謳歌といえましょう。
まさにその燃料となる生薬が、「鹿茸」なのです。
人間のバイタリティーを補うそれがまさに「鹿茸」…
東洋医学では「腎」を単に腎臓とはみなさず、内分泌、生殖器系、免疫系などを含めた生命の源と考え、精力とも一体のものとしてとらえます。心身両面のバイタリティーと考えるのが近いと言えましょう。
人間の一生とは、「この腎」の盛衰に他なりません。気力・筋力・性的能力などは、30歳前後のピークに向かって上り詰め、あとは徐々に衰えていくのです。加齢と共に訪れる「腎」の衰えはいかんしがたいものです。しかし、「腎」を補えば、この曲線をなだらかにすることは十分に可能です。その「補腎」の働きを持つお薬の代表格が鹿茸です。
「薬」の代名詞 高貴薬(鹿茸)
5月5日の端午の節句には「菖蒲湯」に入る習慣がありますが、そもそもこの日は「薬の日」でもあり、その起源は奈良時代にまで遡ります。当時「薬猟(くすりがり)」という行事があって、天皇や貴族など身分の高い人々は一団となって薬狩りに出かけました。その期日が5月5日であり、そこでとられた「薬」というのが生命力みなぎる鹿の幼角、すなわち鹿茸をだったのです。
日本でも「薬」といえば鹿茸をさしていたように、中国でも薬屋といえば人参と鹿茸の品揃えが必須でした。ですから、看板も「薬局」とか「薬店」とは書かず、単に「人参鹿茸荘」と掲げていたお店が多かったといいます。現在でも香港や台湾では「人参鹿茸荘」と記した漢方薬店を多く見ることができます。
生命力の源たる鹿茸の薬能
李時珍という生薬学者が著した「本草綱目」の中で鹿茸は、「精を生じ、髄を補い、血を養い、陽を益し、筋を強くし、骨を健やかにし、一切の虚損(きょそん)、耳聾(じろう)、目暗(もくあん)、眩暈(げんうん)、虚痢(きょり)を治す。」という意味です。
つまり、鹿茸こそは、両親から授かり、もって生まれてきた生命力をフルに発揮させるための生薬。腎の中にあり、人生にバイタリティをもたらす「命門の火」を長く燃やし続ける燃料ともいうべきお薬なのです。
現代人の必需品 健康を叶える生薬 鹿茸
戦後間もないころの日本人の平均寿命は、約50歳。ところがいまでは、男女とも80歳を超えて日本は世界に名だたる長寿国になりました。冒頭でライフサイクルと「腎」の盛衰曲線を示しましたが、寿命が急伸した現代では50代や60代で「老年期」に突入してしまうわけにはいきません。「腎」の高揚期を少しでも長く引き伸ばし、元気に活躍しなくては生きている意味が半減してしまうからです。
生命の活動の基本である「腎」が不足すると、全身の疲労倦怠感や冷え、脱毛や目のかすみ、夜間頻尿につながります。また、子供には発育不良や夜尿症が現れます。
そうならないように、「腎」を高いレベルで維持することこそ「元気」の秘訣なのです。天皇をはじめ高貴な人が「薬猟」に出向き、ごぞって求めたいといわれる鹿茸は、まさに「健康」を叶えるためのお薬といえます。(健康の強化書より)