お知らせコラム

男性不妊の漢方と現状

4月から不妊症の保険適応が拡大され、体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)、胚移植(ET)など生殖補助医療(ART)に保険が適応されるようになります。
生殖補助医療(ART)とは、体外受精(IVF)、顕微授精法(ICSI)、胚移植(ET)、ヒト卵子・胚の凍結保存ならびに凍結胚移植等の技術に対する総称です。
体外受精は、卵子に精子を出会わせる技術。
顕微授精は、精子 1 個を卵子の中に人工的に注入する技術のこと。
気になる安全性の面については、以前から議論がありましたが、
総じて安全であるというのが一般的な考えとのこと。
大規模な調査でも、体外受精の先天性異常リスクは自然妊娠と有意差がないと報告されています。
顕微授精も同様に安全面に差はないと考えられてきましたが、自然妊娠に比べて先天性異常のリスクが増す可能性があるという報告も見られるようになり、医学的に必要な場合にのみ運用されるべきだという傾向がみられます。
また、顕微授精に伴う先天的異常のリスク軽減を目的として、精子の質についても重視されるようになってきています。
精子の基準については、2021 年に WHO ラボマニュアルが改訂されています。それぞれの下限基準値は、精液量(1.5→1.4ml)、精子濃度(1,500→1,600 万/mL)、総精子数(3,900 万/精液中)、運動率(40→42%)、前進運動率(32→30%)、生存率(58→54%)、正常形態率(4%)という改訂内容であり、大きな変更はありません。
一方で、精子 DNA 断片化検査(DFI 検査)や精子酸化ストレス検査などの精子の質に関する検査が追加されています。
日本の男性不妊の主たる直接的原因は造精機能障害です。
平成 27 年度「我が国における男性不妊に対する検査・治療に関する調査研究」によれば、
疾患別でみると男性不妊は造精機能障害が 82.4%、性機能障害が 13.5%、精路通過障害 3.9%、その他 0.2%となっています。中でも原因の分からない特発性の造精機能障害が 42.1%と最も多く、治療に難渋する場合も多いようです。
西洋医学的な治療が難しい男性不妊でも、漢方薬が役立つ場合があるとのことです。
補中益気湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、桂枝加竜骨牡蛎湯、八味地黄丸、牛車腎気丸、柴苓湯などがよく用いられています。
昔から精力・活力の低下には、鹿茸、海馬、鹿鞭、広狗鞭、海狗鞭など配合した動物生薬配合製剤(至宝三鞭丸・海馬補腎丸)が使用されています。
男性不妊においても漢方薬の積極的な活用が今後期待されるとのことです。
(ナンバー436、コタロー通信、令和4年3月15日発行より参照)

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