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杞菊地黄丸の枸杞子(くこし)

枸杞子について
クコの果実です。夏から秋にかけて紫色の花が咲き、秋には果実が赤く熟します。この果実を乾燥したものが枸杞子で、先の尖った紡錘形を呈します。特異なにおいがあり、味は甘く、ときに僅かに苦味があります。赤色を呈し、黒く変色していないものが良品とされていますが、湿気を吸いやすく、吸湿すると黒く変色します。主な産地は、寧夏、甘粛省、内蒙古、河北省、山西省などが知られています。枸杞子は『神農本草経』の上品に収載され、「味は苦く寒。五(臓)内の邪気、熱中消渇、周痺を治す」と記されています。『本草綱目』(李時珍)には「枸杞とは二種の樹の名称であって、この物の棘が枸(カラタチ)の刺のようで、茎が杞(コリヤナギ)の條(細い枝)のようだから合併して名称となったのである」と、その名前の由来を記しています。枸杞子は主に強壮薬として、肝腎を滋補し、虚労、腰膝の疼痛、無力感、めまい、頭痛などの症状に応用されています。枸杞は果実だけではなく、根と葉にもそれぞれ薬効があるとされています。根皮を乾燥したものは「地骨皮(ジコッピ)」と称し、『日本薬局方』に収載されており、清心蓮子飲などの漢方処方に配合されています。また、葉を乾燥したものは「枸杞葉(クコヨウ)」と称し、『日本薬局方外生薬規格 2018』に収載されており、こちらは民間薬として用いられています。枸杞子が配合されている処方として、杞菊地黄丸が挙げられます。枸杞子は菊花とともに作用して目の炎症を鎮め、パソコンなどのOA機器で目を酷使した後の目の疲れや、かすんで細かな字が見にくいといった症状に効果を発揮します。また、杞菊地黄丸は六味丸がベースとなっているので、目の症状だけでなく、「肝腎陰虚・肝陰虚」を目標に、足腰が重だるい、手足のほてり、排尿異常、耳鳴り・難聴、めまい、老化に伴う症状などにも幅広く応用することができます。
No.431コタロー通信より

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